事例紹介
WORKSイオン株式会社様
イオン株式会社様
「株主さま専用アプリ」で日本初の株主エンゲージメント変革に挑む
個人金融資産2,300兆円をどう動かすか。イオン×CRiPT consultingが挑む株主との新しい関係
なぜ設立間もないファームがパートナーに選ばれたのか。本記事の対談の様子は、15分の動画でもご覧いただけます。
イオン株式会社は、小売を中心に300を超えるグループ会社を擁する日本最大級の流通グループである。「お客さまを原点に平和を追求し、人間を尊重し、地域社会に貢献する」という基本理念のもと、2026〜2030年度のグループ中期経営計画では「社会課題の解決」と「企業としての成長」の両立を掲げ、その中核施策の一つに個人株主の拡大を位置づけている。2026年4月、その要となる株主さま専用アプリ「イオンオーナーズクラブ」がリリースされた。クリプトコンサルティングはアプリの企画・設計からリリース、運用体制の構築までを一気通貫で支援し、リリース3か月で約40万人の登録という立ち上がりを共にしている。今回はこの取り組みを率いるイオン株式会社 IR・SR部 部長の小林哲也様に、クリプトコンサルティング代表の島本がお話を伺った。
経営上の課題
- 中期経営計画の中核施策として個人株主の拡大を掲げる中、株主エンゲージメントを高める新しい接点が必要だった
- 株主優待や郵送物の電子化と、株主への情報発信の充実を同時に進める必要があった
- 300を超えるグループ会社の事業を株主に伝える、グループ横断の情報発信体制がなかった
- 世界にも類のない取り組みのため、正解のない中で共に考え抜けるパートナーが必要だった
課題解決に向けたクリプトコンサルティングの支援
- 株主さま専用アプリ「イオンオーナーズクラブ」の機能要件定義、UI/UX設計、テストからリリースまでの伴走支援
- 株主属性に応じた登録促進施策の企画と、クリエイティブ制作(DM4種・動画2種)の監修
- 配信コンテンツの制作と、配信から効果検証までのPDCAサイクルの設計・定着化
- 掲載ガイドライン・運用ルールの策定と、グループ各社を巻き込んだ運営体制の構築

支援の成果
- リリース3か月で約40万人(全株主の約40%)のアプリ登録を実現
- 3か月で77件のコンテンツ制作・配信を実現し、配信から効果検証までのPDCAを定着化
- 24部署・16社が参加する、グループ横断の安定した運用体制を確立
- パートナー企業とのMOU締結など、一社では成し得ない共創の枠組みを構築

インタビュー
小林 哲也様
イオン株式会社 IR・SR部 部長
野村證券にてリテール営業から支店長、投資銀行部門、ウェルスマネジメント事業の立ち上げまでを経験。ベンチャー転身、イオンフィナンシャル顧問を経てイオン株式会社へ。ブランディング部 初代部長を経て現職。株主さま専用アプリと個人株主拡大の取り組みを率いる。
島本 遼太郎
クリプトコンサルティング株式会社 代表取締役社長
外資系大手コンサルティングファームで新規事業創出やスマートシティなど多領域のプロジェクトを推進した後、クリプトコンサルティングを設立。本プロジェクトでは企画段階からイオン様に伴走し、アプリの立ち上げから運用体制構築までを支援している。
世界にも類のない「株主アプリ」への挑戦
島本本日はイオン株式会社様の小林様にお越しいただき、我々がどのようなご支援をさせていただいているのか、どのようにお役立ちできているのかについて、忌憚のないご意見をいただければと思っております。まずは簡単に自己紹介をお願いできますでしょうか。
小林様私はもともと野村證券に入りまして、リテールから始まり支店長まで務めたのち、投資銀行部門で商社・小売業界、その後は電機・精密の業界を担当していました。証券業がデジタル化の中でどう変化していくかを考える時期に、新規事業としてウェルスマネジメント(当時はプライベートバンクと呼んでいた富裕層ビジネス)の立ち上げメンバーとなり、大阪・東京・京都で事業を立ち上げました。その後ベンチャーに転身し、もともとイオンを担当していたご縁もあって、イオンフィナンシャルの顧問を経てイオン株式会社に入りました。当初はブランディング部を作っていただき、その初代部長として、現在は名前を変えたIR・SR部で、IR部門も管掌しています。
島本ありがとうございます。アプリの概要と、いま取り組まれていることもご説明いただけますか。
小林様4月17日にローンチしたのは、イオンのスーパーアプリ「iAEON」の中に作った株主さま専用のミニアプリで、株主の皆さまにご登録いただいています。株主優待や郵送物の電子化を併せて進めながら、その先でどうエンゲージメントを高めるか、コンテンツをどう開発していくかを考えています。イオングループは事業領域が非常に広く、300を超えるグループ会社があります。そうした事業をご存じでない株主の方も多くいらっしゃいますので、その方々とのエンゲージメントをどう高めるか、情報発信をどう充実させていくか。こういったところを日々クリプトさんと相談しながら進めています。領域が広すぎて、向こう2年間の開発スケジュールとコンテンツの全体像がやっと見えてきたところです。本当に走りながら考えているので、常に横にいていただいていることに非常に感謝しています。

島本ありがとうございます。コンサルティング会社ではプロジェクトごとに人を入れ替えて「この領域のエキスパートです」と送り出すことも当然できるのですが、我々はどちらかというと伴走するパートナーとして、同じメンバーが皆さまの社員の方々と二人三脚で進められる体制を大切にしています。
「同じ船に乗れる」パートナーを選んだ
島本率直にお伺いしたいのですが、なぜ我々のような小さな、しかも御社とご一緒するのが初めてのコンサルティング会社にご発注いただけたのでしょうか。
小林様イオンでも野村證券の時代でも、いろいろなコンサルティング会社さんとお付き合いがあり、それぞれに良いところがあります。お値段は少々高かったりしますけれども(笑)。ただ、今回やろうとしていたことは本当に日本で初めて、世界にも類のないことでした。そういうものに対して「私たちはこれが強いんです」と言われても、そこではないなと。ビジネスはやってみなければ分かりません。その時に、面白いと思ってやってくれるのか。この世界が実現したときに、どんなインパクトを社会に与えられるのか。そういう観点からクリプトさんを選ばせていただきました。
島本最初にご提案した際、小林様がおっしゃったことをよく覚えています。本当に新しいものだから、ウォーターフォール型で進められるプロジェクトではない。壁に当たっては方向を変え、臨機応変に一緒に動けることが大切だと。決め手という意味では、新しい取り組みだから新しい会社に、ということだったのでしょうか。
小林様新しい取り組みだから新しい会社、ということではないと思うんです。このプロジェクトはかなりの人を巻き込み、認めてもらわなければ進みません。すべての責任は自分にあると思っていますが、迷ったときに「なぜ急に状況が変わったのか」「どちらが良いのか」を、先生としてではなく、本当の伴走というか、同じ側に立っていただいて、同じ船に乗って相談できる、教えてもらえる。そういう関係性を一番重視して御社を選ばせていただきました。
一社では成し得ない共創の枠組み
島本御社の中で、MOUを締結して新しい取り組みを生んでいくことは、数として多いのでしょうか。
小林様本当にないですね。事業領域が広いこともあって、どうしても自分たちでやる傾向が強いのだと思います。
島本今回は我々が間に入らせていただき、パートナー企業とのMOU締結までご一緒しました。お役立ちはできていますでしょうか。
小林様結果として時代が大きく変わってきて、一社で何かができるという時代でもない中で、非常に助かったというのが今の率直な気持ちです。
パートナーは「会社」ではなく「人」で選ぶ
島本小林様がコンサルティング会社やベンダーを選ぶとき、注視しているポイントはどこにありますか。
小林様コンサルは会社というよりも、その人だと思っています。その人が楽しんで僕らと一緒に働いてくれているのか。いまやっていることを面白いと思ってやってくれているのか。そこを見ているというより、そこを頼りにしていますね。
島本逆に、この会社はダメだなと思うポイントはありますか。
小林様セクショナリズムのきついところですね。担当者の問題なのかもしれないし、できないことはできないと言った方がよいのかもしれない。それでも「ちょっと考えてくれよ」「社内で動いてみてくれよ」と思うとき、残念だなと感じることはあります。お客さまのニーズが潜在化しているときに、一方向の受け取り方だけではなく、違う面から見たらできるのではないか、後ろから見たらできるのではないか。そういう観点がいまの時代はすごく必要だと思います。
島本「できる?」と聞かれたときに「できません」と答えるのではなく、A案・B案・C案をきちんと出せるかが大切ですよね。
小林様そうですね。すぐ答えが出るようなものだったら、誰もコンサルは雇わないですからね。
島本耳が痛いですが、おっしゃる通りです。人としてのレベルと仕事のレベルは対になって上がっていくものだと思います。小林様のように考え抜かれている方とご一緒し、仕事のやり方を学ばせていただけることは、我々にとっても大きな財産です。

組織の成長への期待、そして構想の広がり
島本我々に今後期待すること、強化してほしいところはありますか。
小林様皆さんが優秀なので、うちの部員が頼りすぎてしまう(笑)。本来は自分で判断し、自分で責任を取っていかなければいけない。組織が強くなっていくためには、それぞれのレイヤーがそれぞれの責任の範囲で判断し、部下を育成していくことが続かないといけません。「部下の育成までお願いします」というのは失礼な、贅沢な悩みかもしれませんが、この組織をどう強くして発展させていくのかを考えたとき、そこが今の私のテーマです。自分自身にも問うているところです。
小林様それから、イオンのように株主の方を大切にしている企業にとっては、本当はダイレクトに株主の方へ理念経営をお伝えし、ファンになっていただきたいという思いが非常に強いんです。イオンでは個人株主の方を、お客さまでもあるという意味を込めて「お客さま株主」と呼んでいます。これはイオンだけではなく、小売をはじめBtoCのビジネスをやっている会社すべてに通じる話です。日本には2,300兆円の個人金融資産がありますが、その半分以上が現預金にとどまっている。この状況は日本経済の発展にとって良いとは思っていません。株主アプリを通して個人投資家が資本市場に参加しやすくなる、株式がより身近になるということは、人生をかけてでもやってみたいことの一つだと思っています。
島本我々も微力ながら、パートナー企業様とのマッチングも、小林様とこの取り組みを深めていくことも、引き続きご支援できればと思っております。本日はありがとうございました。
小林様ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(都内スタジオにて取材/2026年7月)
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